白黒の古い映画を、最後まで見られたことがなかった。名作と呼ばれる作品を何度か再生してみたが、十五分ほどで手が止まる。画面の暗さよりも、話の運び方がゆっくりなことに慣れなかった。それでも気になる作品があったので、入り方を変えてみたら見通せるようになった。
途中で止まっていた理由
- 今の作品より一つの場面が長く、展開を待てなかった
- 役者の顔の見分けがつかず、人物関係が追えなかった
- 音がこもっていて、台詞を聞き取るのに疲れた
- 有名すぎて、筋を知っている気になっていた
並べてみると、作品が悪いのではなく、今の作品と同じ感覚で見ようとしていたのが原因だった。
最後まで見られた入り方
短い作品から始める
最初の一本は九十分前後のものを選んだ。古い映画には今より短い作品が多いので、探すのは難しくない。長い大作から入ると、慣れる前に疲れてしまう。
字幕を常に表示しておく
日本語の作品でも字幕を出した。音がこもっていても台詞を目で追えるので、聞き返す回数が減った。人物の名前も字幕で覚えやすくなる。
冒頭の十分だけは集中して見る
最初に人物がそろう場面だけは、スマホを置いてしっかり見るようにした。ここで顔と名前を覚えておくと、あとが楽になる。
画面の見え方も整えた
白黒の作品は、部屋が明るいと画面が白っぽく見える。照明を一段落として見ると、陰影がはっきりした。古い作品は画面の比率も今と違うので、左右に黒い帯が出る。これについては古い作品の画角と黒帯の話に書いたとおり、引き伸ばさずにそのまま見るほうが自然だった。
見終わってから気づいたこと
一本見通すと、次の作品はずっと楽になった。ゆっくりした運びにも、慣れれば間の取り方の面白さがあると分かる。台詞のない時間に、表情だけで気持ちを伝える場面が多いことにも気づいた。
一方で、合わない作品もはっきりある。三十分見て入り込めなければ、無理に続けずに切り上げている。そのときの判断は合わない作品を切り上げるときの線引きと同じだ。
次の一本の選び方
一本見られたら、同じ監督か同じ役者の作品をもう一本選ぶようにしている。顔と演出に慣れているので、二本目は最初から話に入れる。いきなり別の国や別の年代に飛ぶと、また一から慣れ直すことになる。
最初の一本を選ぶときに見たところ
- 上映時間が九十分前後であること
- 紹介文に人物が三人か四人しか出てこないこと
- 喜劇か、筋の追いやすい恋愛ものであること
- 字幕や音声の選択肢が用意されていること
重い社会派の作品や、登場人物の多い群像劇は二本目以降に回した。最初から「名作だから」で選ぶと、慣れていない部分と作品の重さが重なって、どちらのせいで疲れたのか分からなくなる。まずは軽いものでゆっくりした運びに慣れ、それから見たかった作品に戻るほうが近道だった。
よくある疑問
色をつけた版があったらそちらを見る?
元の白黒で見ている。作られたときの見え方で見たほうが、照明や構図の意図が分かりやすい。
どの時代から入るのがいい?
音声がはっきりしてくる時期の作品のほうが入りやすかった。無声の作品は、何本か見て慣れてからにしている。
一人で見るのと誰かと見るのはどちらがいい?
最初は一人で見た。人と見ると、相手の退屈そうな様子が気になって集中できなかった。

