配信で古い映画を見ようとして、画面の左右に太い黒帯が出たまま始まったことがある。テレビの設定を間違えたのかと思って触っているうちに、今度は人の顔が横に伸びた。結局その日は納得のいく形にならず、後から調べてようやく、直せるものと直せないものがあると分かった。同じことで手間取る人がいそうなので、順番に書いておく。
先に結論だけ
- 左右の黒帯は、作品がもともと正方形に近い比率で作られているせい。消すと端が切れるか、横に伸びる
- 上下の黒帯は、作品が横長で作られているせい。こちらは消さないほうがいい
- 人が横に太って見えるときは、テレビ側が無理に画面いっぱいへ引き伸ばしている
- 画質の粗さは設定では直らない。元の映像がその解像度で作られている
なぜ黒帯が出るのか
昔のテレビ番組は今より正方形に近い
ある時期より前に作られたドラマやアニメは、今のテレビより縦に長い比率で作られている。それを横長の画面に出すと、左右が余る。あの黒帯は不具合ではなく、元の形をそのまま出している状態だ。むしろ黒帯が出ているほうが、作った人の意図どおりに見えていることになる。
映画は逆に横長のことがある
映画館の幅に合わせて作られた作品は、家庭のテレビより横に長い。今度は上下が余るので、上下に黒帯が出る。こちらも正常な表示で、消そうとすると画面の上下が切り落とされる。字幕が切れて読めなくなることがあるのは、たいていこれをやったときだ。
テレビ側の画面モードで何が起きているか
リモコンに画面サイズや表示モードを切り替えるボタンがある機種が多い。名前は機種によって違うが、やっていることはだいたい次のどれかだ。
- 元の比率のまま出す。黒帯は残るが形は崩れない
- 上下左右いっぱいに引き伸ばす。黒帯は消えるが人が横に太る
- 拡大して画面を埋める。形は崩れないが端が切れる
- 中央は自然なまま、左右だけを強く引き伸ばす。中央の人は普通だが端の柱が曲がる
自分は最初、二番目になっていることに気づかず「この作品は画質が変だ」と思い込んでいた。人の顔が丸く見えたら、まず作品ではなくテレビ側を疑ったほうが早い。
結局どれを選んだか
いろいろ試して、元の比率のまま出す設定に固定した。理由は三つある。
- 作品ごとに切り替えるのが面倒で、そのうちやらなくなる
- 引き伸ばすと、字幕の位置や画面の端に映る情報が欠けることがある
- 黒帯そのものは、数分見ていれば気にならなくなる
暗い部屋で見ていると黒帯は本当に目立たない。明るい部屋のほうが枠として見えてしまうので、気になるなら部屋の明かりを落とすほうが、設定をいじるより効く。明るさの調整で見え方が変わる話は画面の明るさと目の疲れにも書いている。
設定では直らないもの
画質の粗さ
古い作品は、そもそも今ほど細かい解像度で記録されていない。テレビ側に精細さを補う機能が付いていることはあるが、無いものを作り出しているので、輪郭が不自然になることもある。自分は補正を弱めにして、粗いまま見るほうが落ち着いた。
色の褪せや粒状感
フィルムで撮られたものは、ざらつきが見える。これは劣化ではなく元の質感なので、消そうとすると質感まで平らになる。作品によってはその粒こそが見どころなので、触らないことにした。
音が小さい、あるいは台詞が聞き取りにくい
古い作品は音の作りも今と違い、効果音と台詞の差が大きいことがある。音量を上げると効果音だけが大きくなるので、テレビ側に台詞を聞き取りやすくする設定があればそちらを使うほうがいい。音量差そのものへの対処は作品ごとの音量差への対処にまとめてある。
よくある疑問
同じ作品でもサービスによって見え方が違う
配信用に用意された映像が別物であることがある。上下を切って横長にそろえたものと、元の比率のまま配信しているものが混在している。気になる作品は、再生してすぐ黒帯の出方を見比べると分かる。
スマートフォンで見ると黒帯が気にならない
画面が小さいぶん、余白の面積も小さいからだと思う。ただ、小さい画面だと古い作品の粗さも目立たないので、粗さが気になるならむしろ小さい画面のほうが見やすい、ということは実際にある。
全画面で見たいときはどうするか
端が切れてもいいなら、拡大して埋める設定にすればいい。ただし字幕が切れていないかだけは最初に確かめること。台詞の下一行が画面の外に出ていて、しばらく気づかなかったことがある。
まとめ
黒帯は不具合ではなく、元の形をそのまま出しているだけだった。消そうとすると形が崩れるか端が切れるので、自分は元の比率のまま固定して、部屋を暗くするほうで折り合いをつけた。画質の粗さや音の作りは設定では直らないので、そこは作品の年代として受け入れるしかない。触るべき場所とそうでない場所が分かれば、古い作品を開くときの引っかかりはかなり減ると思う。

