暗い場面が見えない。夜のシーン、地下、森の中。人が動いているのはわかるが、誰が誰なのか判別できない。制作側の意図なのだろうと諦めていたのだが、同じ作品を別の家のテレビで見たときに普通に見えて、これは自分の設定の問題だと理解した。
テレビの映像モードを触ったのは、購入してから一度もなかった。初期状態のまま四年使っていた。
店頭向けの設定が残っていた
設定画面を開くと、映像モードが「ダイナミック」になっていた。調べたところ、これは店頭の明るい照明下で見栄えがするように作られたモードで、明るさとコントラストを強く持ち上げる代わりに、暗部の階調をつぶす傾向がある。家庭のリビングで使う前提の設定ではなかったわけだ。
「スタンダード」に変え、さらに映画向けのモードを試した。名前はメーカーによって違って、シネマ、ムービー、映画などと呼ばれている。切り替えた瞬間の印象は「暗くなった」だった。全体的にトーンが落ちて、色も少し渋くなる。正直、最初は失敗したと思った。
ところが、夜のシーンに入って評価が変わった。暗いのに、暗い中の物が見える。壁の質感、人の輪郭、背景に置かれた物。今まで黒一色に見えていた領域に、実は情報が入っていたのだと初めてわかった。
部屋の明るさとセットで考える必要がある
ただし、この映画向けモードは部屋が明るいと途端に見づらくなる。昼間にそのまま使うと、全体がくすんで沈んだ映像に見える。結局、時間帯で使い分けることにした。
実際の使い分け
- 昼間・照明を点けた夕方:スタンダード
- 照明を落とした夜:映画向けのモード
- スポーツやバラエティ:スタンダードのまま
切り替えはリモコンのボタン一つで済むので、手間としては数秒だ。最近のテレビには部屋の明るさを検知して自動で調整する機能もあるが、自分の環境では反応が過敏で、照明のちらつきに合わせて画面の明るさが揺れるのが気になり、オフにしている。
やらなくてよかった調整
ついでに細かい項目もいじってみたのだが、これは失敗だった。ノイズ低減や輪郭強調を強めると、一見くっきりして見える代わりに、映像の質感が平坦になる。人の肌がのっぺりして、布の織り目が消える。全部オフか最小に戻したほうが自然だった。制作側が意図した見え方から離れていくだけで、得るものが何もなかった。
動きを滑らかにする補間機能も、映画では違和感が強かった。二十四コマで撮られた映像が妙にぬるぬる動いて、テレビドラマのような質感になる。これも切った。結局、いじった項目より戻した項目のほうが多い。
音のほうが気になっているなら、サウンドバーを導入したときの変化のほうが効きが早いかもしれない。映像と音は別の話なので、片方だけ整えても物足りなさは残る。
四年間、暗いシーンを見えないまま見ていた。設定画面を五分開くだけで済んだと思うと、もっと早くやればよかったという気持ちが強い。配信側の画質設定を上げる前に、まず受け手側のモードを確認したほうが順序としては正しい。


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