一年以上あいだが空いた海外ドラマの新シーズンを、配信が始まった日に意気込んで再生した。三分で手が止まった。主人公の名前は覚えているのに、その隣に座っている男が味方なのか敵なのかが分からない。前のシーズンで誰かが死んだ記憶はあるのに、それが誰だったか出てこない。結局その日は見るのをやめて、翌週にやり直した。
同じことを何度か繰り返してから、見る前に十五分だけ準備する時間を取るようになった。準備といっても大げさなことはしていない。順番と、やらないことを決めただけだ。
なお、ここで書くのは「一年前の話を思い出す」ほうの準備だ。さっきまでスマホで見ていたドラマの続きを、テレビに移って同じ場面から見たいという話なら、スマホで見た続きをテレビで見るときのつなぎ方のほうが近い。
思い出せなくなる原因は三つに分かれていた
分からなくなる場面を思い返すと、つまずき方がいつも同じだった。
人物の顔と名前が結びついていない
いちばん多いのがこれだった。物語の筋は覚えているのに、画面に出てきた人が誰なのか分からない。とくに脇役は、前のシーズンで数回しか出ていないと顔だけ見覚えがあって名前が出てこない。名前が出てこないと、会話の中で名前だけが呼ばれたときに誰の話をしているのか追えなくなる。
関係が途中で変わったことを忘れている
前のシーズンの序盤で敵だった人物が、終盤では協力していた、という変化を覚えていないことがある。最初の印象だけが残っているので、新しいシーズンで仲良く話しているのを見て混乱する。筋を覚えているつもりで、実は最初の三話ぶんしか覚えていなかった、ということが何度かあった。
終わり方だけがすっぽり抜けている
これは自分の見方の問題だった。最終話を寝る前に見て、そのまま寝てしまうことが多い。翌朝には見たこと自体は覚えているのに、最後の十分で何が起きたかがぼやけている。新しいシーズンはたいていその十分の続きから始まるので、いちばん大事な部分が抜けている状態で見始めることになる。
見る前にやっている四つのこと
いまは新シーズンを再生する前に、この順番で十五分ほど使っている。
- 配信サービス内にある前シーズンのあらすじを、最終話ぶんだけ読む
- 登場人物の一覧ページを開いて、顔写真と名前を上から順に眺める
- 前シーズンの最終話を、最後の十分だけ飛ばして見る
- 新シーズンの第一話は、字幕を出して見る
効き目が大きかったのは二つ目と三つ目だった。人物一覧は、名前と顔を結び直すだけなので三分もかからない。最終話の最後だけ見るのは、あらすじの文章を読むより早くて確実だった。文章だと「誰が誰に何をした」という情報は分かっても、そのときの空気までは戻ってこない。映像だと一度で戻る。あらすじを読む方法そのものは以前から続けていて、新シーズン前にあらすじを読み返す習慣のほうに詳しく書いた。
やってみて効かなかった方法
最初に試したのは、前シーズンを頭から倍速で見返すことだった。十話あると倍速でも五時間かかる。二回やって、二回とも途中で飽きた。しかも速く再生していると人物の表情が頭に残らないので、名前と顔を結び直すという目的にはあまり効かなかった。速く見ることで得られるものと失うものは作品によって違うと感じていて、そのあたりは倍速再生が向く作品と向かない作品のほうで整理している。
他人が書いた要約記事を読むのも試したが、これは別の問題があった。先のシーズンの内容にまで触れているものが混ざっていて、読んだ瞬間に新シーズンの展開をひとつ知ってしまった。それ以来、要約を探すときは配信サービスの中にあるものだけにしている。
それでも分からないまま見始めるとき
準備する時間が取れない日もある。そういうときは、分からないまま第一話を見てしまうことにしている。一話見ると、たいてい向こうが説明してくれる。作り手のほうも、視聴者が一年空けていることは分かっているらしく、序盤で前のシーズンの出来事に触れてくれる作品が多い。
逆に言うと、二話目まで見てもまだ人物が分からない作品は、準備が足りないというより自分との相性が悪いのだと思うようになった。一年空いても戻ってこられる作品と、そうでない作品がある。そこで無理をしないほうが、結局その後も続く。
前の内容を思い出せないまま見続けて立て直した経緯は見ても内容が残らなくなった2週間からの立て直しに書いている。
シリーズものでもう一つ迷いやすいのが見る順番で、続編とスピンオフは公開順か時系列かの決め手を別の記事で整理した。
シーズンが空くどころか続きが作られなかった作品については、打ち切りで終わった作品とのつきあい方のほうで別に考えた。


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