好きな演者の公演が配信されると知って、いつもドラマを見ている設定のまま再生した。終わったあとに残ったのは、良かったという感想よりも、なんとなく物足りないという感覚だった。音が遠くて、画面の切り替わりについていけなかった。作品が悪いのではなく、こちらの見方が合っていなかった。
それから何本か見るうちに、ライブや舞台のときだけ変えている点がいくつか固まってきた。機材を買い足したわけではなく、設定と座る場所と時間の使い方を変えただけだ。
ドラマや映画と何が違ったか
同じ映像作品のはずなのに、見ていて要求されるものが違った。気づいた差はこのあたり。
- 台詞を追う必要がない代わりに、音の厚みがそのまま満足度になる
- 止めるタイミングがない。曲や場面の途中で抜けると戻りにくい
- 拍手や歓声で音量が急に上がる。夜は特に落差が大きい
- カメラが頻繁に切り替わる。細部を見たいのに寄りと引きが自分の意思と関係なく変わる
- 字幕がないことが多く、代わりに曲名や場面の区切りが分からない
要するに、こちらが操作する余地が少ない。ドラマなら止めて巻き戻せば済むところが、ライブでは流れが切れる。だから始める前に整えるほうへ発想を変えた。
音を先に整える
夜間モードを切る
ふだんは作品ごとの音量差がきついので、小さい音を持ち上げて大きい音を抑える設定を入れている。これをライブで使うと、演奏の強弱が平らになってしまう。盛り上がる場面で盛り上がらない。ライブのときだけこれを切って、代わりに全体の音量を一段下げるようにした。
ふだん使いのほうの設定についてはサウンドバーはいらない?置いて変わった点と、見送っても困らなかった理由に書いた。結局うちは置かずに済ませているので、切り替えは本体の音声設定だけでやっている。
音の出どころを一つにする
手元の端末で見ながらテレビにも映していた時期があって、わずかな遅れで音が二重に聞こえていた。ライブだとこのずれが致命的で、拍が濁る。いまはどちらか一方に決めてから再生する。
画面の設定で戻したもの
映像を滑らかに見せる補正を入れていたのだが、舞台の配信ではこれが合わなかった。照明が速く動く場面で輪郭が不自然に伸びる。切ったほうが素直に見えたので、ライブのときは補正を全部外している。
明るさは逆に少し上げた。ふだんは目が疲れないように落としているが、暗転の多い舞台では衣装の細部が沈んでしまう。部屋の明かりを消して、画面のほうを上げる形に落ち着いた。
途中で止めないための段取り
上映時間を先に見る
二時間半あるものを一時間しかない時間帯に始めて、いちばん見たかった終盤で切り上げることになった。配信のライブは休憩が入らないものも多いので、始める前に長さを確認して、その分の時間が空いている日に回すようにした。
通知と飲み物を先に片づける
ドラマなら止めて取りに行けばいいが、ライブだと戻ったときに空気が切れている。始める前に飲み物を用意して、端末の通知を止めておく。これだけで途中の中断がほぼなくなった。
スポーツ中継とはまた別だった
同じ「生の映像」でも、スポーツのときに気にする点はまるで違った。あちらは途切れずに届くかどうかが最優先で、画質を落としてでも止まらない設定にする。音の厚みはそこまで求めない。
ライブは逆で、多くの場合あとから見られる形で配信されるので、回線の一瞬の乱れは致命的ではない。そのぶん音に振れる。中継のほうの条件はスポーツ観戦向けVODの選び方|ライブ配信を安定させる条件に分けて書いた。
よくある疑問
見逃し配信の期限はどう扱うか
公演系は視聴できる期間が短めに区切られていることが多かった。数日で終わるものもあるので、配信が始まった時点で終了日をカレンダーに入れている。作品の一覧に戻ったときには、もう並んでいないことがある。
途中から何度も見返してよいのか
期間内なら繰り返し見られる形が多い。自分は一度通して見たあとで、良かった場面だけを拾い直す二度目をやることが多い。一度目に細部を追うのはあきらめて、通しで浴びることに使ったほうが満足感が高かった。
家族がいる時間に見られるか
音量を上げたいので、これがいちばん難しい。うちは人がいる時間は諦めて、遅い時間にひとりで見るようにしている。同室で別のものを見る場合の折り合いは同じ部屋で別々の作品を見るときの間合いのほうで触れている。
結局どこが効いたか
いくつか変えた中でいちばん効いたのは、音を平らにする設定を切ったことだった。機材の話になる前に、すでに入っている設定が邪魔をしていたという順番だ。物足りないと感じたときに、まず買うものを探しにいかなくて済んだのはよかったと思っている。

