一年分の視聴履歴をなんとなく眺めていて、並んでいる作品の傾向がほとんど同じだと気づいた。国も年代も似ていて、話の型まで近い。おすすめ欄に出てくるものも当然その延長で、そこから選ぶのでまた同じ方向へ進む。
面白くなかったわけではない。ただ、去年見て印象に残っている作品を思い出そうとしたときに、区別がつかないものが何本もあった。同じ皿を続けて食べたあとの感覚に近い。そこから半年ほど、意識して崩してみたので、効いたやり方と空振りしたやり方を分けて書いておく。
偏りに気づく目印
自分の場合、次のどれかが出ていたら偏っている合図だった。
- 見終わったあとの感想が「よかった」以外に出てこない
- おすすめ欄の上から三つが、どれも同じ雰囲気のサムネイルになっている
- 途中で切り上げる作品が増える。似ているので先が読めてしまう
- 人から勧められた作品を、あらすじだけで自分には合わないと判断している
四つ目がいちばん危ない兆候だと思っている。実際に開く前に切っているので、そもそも新しいものが入ってくる経路が閉じている。
効いた崩し方
選ぶ人を自分以外にする
いちばん効いたのがこれだった。月に一本だけ、自分では選ばない。家族に選んでもらう回を作った。自分の基準が入らないので、あらすじを読んだら絶対に手に取らないものが混ざる。三本のうち二本は合わなかったが、残りの一本がその半年で一番の収穫だった。
これは打率を求める話ではなく、経路を増やす話だと思っている。合わない二本は十分で切り上げていいことにして、その代わり最初の十分は必ず見る、と決めておくと気が楽になる。
制作年を一つの軸にする
ジャンルで広げようとすると、結局好みの範囲で足踏みする。代わりに「二十年以上前のもの」という条件だけで選んでみたら、これはうまく機能した。古い作品は話の進み方が今と違うので、慣れた型から自然に外れる。
難点は画面の粗さで、ここで何度か離脱した。古い作品を見るときは明るさの設定を少し変えて、期待値も下げてから入るようにしている。
短いものから入る
知らないジャンルで二時間を賭けるのは腰が重い。三十分以内の短編や、一話完結で二十分ほどの作品から試すようにしたら、手をつける回数が増えた。合わなければ二十分で終わるので、失敗の重さが小さい。
空振りしたやり方
逆に、やってみて効かなかったものも書いておく。
- ランキングの上から順に見る:人気作は自分の好みと重なる範囲に集まりやすく、崩しにはならなかった
- おすすめ欄を消す:一時的に履歴を消して更地にしてみたが、選び直したものがまた同じ傾向だった。原因は履歴ではなく自分の手癖だった
- とにかく本数を増やす:偏ったまま数が増えるだけで、見終わったあとに残るものはむしろ減った
二つ目で分かったのが大きかった。仕組みのせいにして履歴を消しても、選ぶのは自分なので結果は変わらない。おすすめの仕組みそのものは便利で、使い方を整えた話は視聴履歴とレコメンド機能を活用したらVOD迷子から解放された方法のほうに書いた。
崩しすぎても続かない
途中で張り切って、見る本数の半分を知らないジャンルに割り当てた月があった。これは続かなかった。疲れているときに未知のものを見るのは、それ自体が労力になる。
いまは月に一本か二本だけを崩す枠にして、残りは好きな方向で見ている。割合としては一割か二割で、これくらいが息切れしない。選び方の優先順位そのものについてはレビューを当てにせず作品を選ぶ優先順位に書いてある。
よくある疑問
合わない作品はどこでやめていいか
自分は十分で決めている。ただ、崩す目的で選んだ作品は慣れるまでに時間がかかるので、この枠だけは二十分まで待つことにした。判断の線引きは作品の種類によって変えていい。
子どもや家族と見るときも崩せるか
一緒に見る回はむしろ崩しやすかった。自分ひとりだと選ばないものが自然に入ってくる。逆に、こちらが崩そうとして選んだものは相手に付き合わせる形になるので、その回は一人のときにしている。
記録をつけたほうがいいのか
偏りに気づけたのは記録があったからなので、あったほうがいいと思う。ただ長い感想は必要なかった。一行だけ残す形にしてからのほうが続いている。やり方は見た作品を一行だけ記録する習慣をつけて助かっていることにまとめた。
半年やってどうなったか
見た本数は前の年とほとんど同じだったが、思い出せる作品の数は増えた。崩した枠から出てきた当たりは三本で、打率としては低い。それでも、去年の履歴を見て似た顔ばかりだと思うことはなくなった。仕組みを変えるより、選ぶ人を自分以外にする回を作るのが、いちばん安く効く方法だった。

