原作を読んでから映像化作品を見ると、たいてい落胆する。省略された場面が気になり、配役が頭の中の像と噛み合わず、結末を知っているぶん途中の緊張感も薄い。何度かそれを繰り返して、映像化作品そのものを避けるようになっていた時期がある。
順番を逆にしてみたのは、半ば実験のつもりだった。原作があると知りつつ、あえて先に配信のドラマ版から入る。それを去年から何作か続けている。
先に映像から入ると、何が変わったか
いちばん大きかったのは、映像版を「劣化版」として見なくなったことだった。比較対象を知らない状態で見るので、単純に一本の作品として評価できる。テンポが速いと感じれば速いなりに楽しめるし、説明が足りない部分は「そういう作りなのだろう」と受け取れる。
そのあとで原作を読むと、今度は逆方向の発見がある。映像で省かれていた背景が細かく書かれていたり、印象の薄かった登場人物に相当な分量が割かれていたりする。これが思った以上に面白かった。順番が逆だったときは「削られた」と感じていたものが、「補足が手に入った」という感覚に変わる。
ある海外ドラマでは、シーズン1を見終えてから原作の一巻を読んだところ、ドラマでは終盤に置かれていた展開が原作では序盤に出てきていた。構成が組み替えられていること自体を楽しめたのは、先にドラマを見ていたからだと思う。
この順番が向かない場合もある
万能ではなかった。まず、原作が完結していてドラマが途中までしか作られていない場合、続きを知りたくなって原作に手を出し、結果としてドラマの続編を見る楽しみが減る。これは何度かやってしまった。
推理ものも相性が悪い。映像で犯人を知ったうえで原作を読むと、伏線を確認する読み方になってしまい、初読の驚きは戻ってこない。この手のジャンルだけは、原作を先に読むか、どちらか一方で済ませたほうがよさそうだ。
もうひとつ気づいたのは、原作がシリーズものだと後読みの負担が大きいことだ。ドラマの一シーズンが原作の三冊分に相当するようなケースでは、見終えた勢いで読み始めても途中で失速する。全何巻なのかを確認してから手を出すようにしてから、読み切れずに放置する冊数は減った。
原作を手に入れるなら映像化作品の原作小説を探しておくと、ドラマを見終えた勢いのまま読み始められる。自分は電子書籍にしてから、見終わった直後に開けるようになったぶん積まずに済んでいる。
配信で見る場合は先にダウンロードしておくと移動中にも進められるので、原作と並行して消化しやすい。作品の探し方そのものに悩んでいるなら、予告編を先にまとめて見る方法も合わせて試してみてほしい。
原作を先に読むか後にするか、正解があるとは思っていない。ただ、順番を意識的に選ぶようになってから、同じ一つの作品で二回楽しめる場面が明らかに増えた。
もう少し続けてみて分かったのは、この順番が効くのは「原作を読み終える見込みが立つ作品」に限られるということだった。映像から入ると原作への興味は確実に湧くのだが、そこで手が止まると中途半端な記憶だけが残る。最近は、ドラマを見終えた時点で原作の分量を確認し、読み切れそうにないと判断したらそこで気持ちよく打ち切ることにしている。無理に両方を消化しようとしないほうが、次の作品に移りやすい。
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