後味の重い映画を見終わって、そのまま布団に入ったのに目が冴えて仕方がない、ということが何度かあった。作品としては良かったし、見たことを後悔してもいない。ただ、そのあとの二時間が毎回もったいない。そこで、重いものを見た日は必ず次に何かを挟む、という形に変えてみた。
最初にやって失敗したこと
思いついたのは「明るいものを見れば切り替わるだろう」だった。ところがこれがうまくいかなかった。
- 賑やかなコメディを再生したら、音と速さが頭に入らずかえって疲れた
- 別の連続ドラマを始めたら、そちらが気になって余計に眠れなくなった
- 音楽番組を流したら、曲ごとに気分が動いて落ち着かなかった
共通しているのは、どれも新しい情報を入れていることだった。重い作品で頭がいっぱいのところへ、別の刺激を足していたことになる。必要だったのは上書きではなく、減速だった。
挟むものに付けた条件
それが分かってから、次の条件に合うものだけを挟むことにした。
- 筋を追わなくていいもの。途中から見ても、途中でやめても困らない
- 十分から二十分で終わるもの。次の一本に手が伸びない長さ
- 音が一定のもの。急に大きくなったり静まったりしない
- すでに何度か見ているもの。初見の情報が入らない
四つ目が効いた。何度も見ているものは、内容を追う必要がない。画面が流れているだけで、頭のほうが勝手に速度を落としていく。
実際に挟んでいるもの
風景や自然を延々と映しているもの
いちばん合っていた。筋も台詞も無く、音も一定している。十分ほど見ると、さっきまでの場面が頭から少し離れる。眠くなったらそのまま止めればいいので、終わりを気にしなくていいのも助かる。
何度も見ている作品の、好きな場面だけ
最初から見ると結局一本ぶんの時間になるので、覚えている場面まで飛ばして、そこだけ見る。すでに知っている画なので情報として入ってこず、それでいて気分は切り替わる。
ものづくりの工程を映しているもの
手順が淡々と進むだけのものが向いていた。次に何が起きるか分かっているので、緊張しない。これも途中でやめて困らない。
順番を決めてから楽になった
今は重いものを見る日を、こういう並びで組んでいる。
- 重い作品は、寝る二時間前までに再生を始める
- 見終わったら、そのまま挟むものへ移る。いったん席を立たない
- 挟むものは十分から二十分で切り上げる
- その日はもう新しい作品を開かない
二番目が意外と大事だった。いったん立ち上がって別のことをすると、頭のなかは作品のことを考え続けている。続けて画面を切り替えたほうが早く離れられた。
そもそも見る日を選ぶようになった
対処を用意したうえで、そもそも重い作品を平日の夜に開かなくなった。翌日に予定が詰まっている日は、どれだけ見たくても翌週に回す。平日の夜に開くものを短いものへ限定した話は寝る前の一本を短いものに限定した話のほうに書いた。
配信終了が迫っていて待てない場合は、休みの日の昼間に見る。同じ作品でも、昼に見ると引きずり方がまるで違った。夜に見るから残るのだと分かってからは、時間帯のほうを動かすことが増えた。
よくある疑問
音楽を流すのでは駄目なのか
自分は歌詞のあるものだと言葉が入ってきてしまって合わなかった。楽器だけのものなら近い効果があると思う。ただ、画面が消えると考え事が始まるので、何か映っているほうが自分には向いていた。
挟まずにすぐ寝られる人もいるのでは
いると思う。自分の場合は引きずるほうなので必要だったというだけで、平気なら手間をかける必要はない。二回続けて寝つけなかったら試してみる、くらいでちょうどいい。
挟むものを探すのが面倒にならないか
あらかじめ何本か決めておけば探す必要はない。自分は三本だけ決めていて、その日の気分でどれかを開く。毎回選ぼうとすると、それ自体が新しい判断になって疲れる。見る候補を貯めておく形についてはウォッチリストの整理にも書いた。
まとめ
重い作品のあとに必要だったのは、明るいもので上書きすることではなく、情報を入れずに減速することだった。筋を追わない、短い、音が一定、すでに見ている。この四つを満たすものを三本だけ決めておけば、その日のうちに切り替わる。そもそも夜に開かない、という選択肢が使える日は、そちらのほうが確実ではある。

