テレビのリモコンで作品名を入力するのが苦痛だった。画面上の五十音表をカーソルで移動して、一文字ずつ決定する。「グ」を出すのに何回ボタンを押すのか、数えたくもない。
スマートフォンのアプリからテレビを操作できると知って切り替えたのだが、変わったのは文字入力だけではなかった。
入力そのものは劇的に速くなった
まず当然の効果として、検索が速い。普段使っている文字入力の環境がそのまま使えるので、予測変換も効く。十文字のタイトルを入れるのに三十秒かかっていたのが、五秒で済む。
音声入力が使えるのも大きかった。作品名を声で入れるほうが速い場面は多い。テレビに向かって話しかけるのは抵抗があったのだが、手元のスマートフォンに向かってなら気にならない。この心理的な差は自分でも意外だった。
思っていなかった変化
切り替えて一か月ほどして気づいたのは、リモコンを探す時間が消えていたことだった。ソファの隙間、クッションの下、別の部屋。リモコンは行方不明になる。スマートフォンは常に手元にあるので、探すという工程が発生しない。
電池切れもなくなった。というより、電池切れという概念がなくなった。年に二回ほど、見たいときに限って電池が切れているという場面があったのだが、それがない。
もう一つ、家族それぞれのスマートフォンから操作できるようになったので、リモコンの取り合いがなくなった。取り合いというほど深刻なものではなかったが、渡してもらうまで待つ時間はあった。
悪くなった点もある
正直に書くと、悪くなったところもあった。
- アプリを開くまでに数秒かかる(リモコンはボタンを押すだけ)
- 画面を見ないと操作できない。リモコンは手探りで音量を変えられた
- 通知が来ると操作が中断される
- スマートフォンの充電が切れると何もできない
二つ目は思った以上に効いていて、暗い部屋で音量だけ変えたいときはリモコンのほうが速い。手触りだけで操作できるというのは、思っていたより価値があった。
結局、リモコンは捨てずにテレビ台の上に置いてある。検索と作品選びはアプリ、再生中の音量と一時停止はリモコン。用途で分けるのがいちばん快適だった。
導入そのものは簡単だった。テレビと同じ回線につないだ状態でメーカーのアプリを入れると、機器の一覧に自分のテレビが出てくる。選んで、テレビ側に表示された数字を入力すれば終わり。五分ほどの作業で、説明書も見ていない。
音声操作との比較
スマートスピーカー経由で操作していた時期もある。音声操作で作品を探した話にも書いたが、あちらは手が塞がっているときには圧倒的に速い。ただ、作品名の認識精度は完璧ではなく、外国語のタイトルだと何度か言い直すことになる。
今は三つの手段が併存している状態で、面倒に思われそうだが、実際にはどれを使うか考えていない。手が空いていればアプリ、料理中なら声、再生中ならリモコン。自然にそうなった。
そもそも作品を探す回数自体を減らしたいなら、先にリストへ入れておく方法のほうが根本的だとは思う。検索が速くなったところで、探している時間が長いことに変わりはない。


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