通勤中や家事をしながら、映像作品を見るときのように物語に浸れたらいいのに。そう思って耳で聴く読書を始めたのが、Audible(オーディブル)を使うきっかけでした。結果として今も続いていますが、正直なところ「誰にでも勧められるサービスか」と聞かれると答えは違います。合う日と合わない日がはっきり分かれたからです。
使っているサービスと、合わなかった条件を先に並べておく。
向いていない人と、続きやすい人
使い始めて三か月ほど経った時点で、自分なりに線引きができてきました。聴く読書が向かないのは、本の内容そのものが悪いわけでも耳が悪いわけでもなく、たいてい生活のほうに理由があります。
向いていないと感じたのは、こういう人です。
- 一日のうち、手は動かすけれど頭は空いている時間がほとんどない
- 読んだ内容を線を引いたり書き写したりして覚えたい
- 登場人物が多い小説や、図表が前提の実用書をよく読む
- 途中で止めた場所を自分で覚えておくのが苦手
- 周囲がうるさい環境でしか聴く時間が取れない
逆に、続きやすいのはこういう人でした。
- 毎日決まった移動時間があり、その間は手も目もふさがっている
- 洗い物や洗濯物たたみのような、考えずにできる家事が日課になっている
- 内容を完璧に覚えるより、物語の流れを味わえれば満足できる
- 読みたい本はあるのに、活字を追う体力が夜に残っていない
- 一冊を一気に読み切らなくても気にならない

「向いていない」と言われやすい三つの理由
感想を検索すると、合わなかったという声もかなり出てきます。自分が実際に引っかかった部分と重なっていたので、まずはそこから整理しておきます。
読み返したい箇所にすぐ戻れない
紙の本なら「さっきのあのくだり」と思った瞬間に指で数ページ戻せますが、音声だと三十秒送りと戻しのボタンを何度も押すことになります。目当ての一文にたどり着くまでに、そもそも何を確認したかったのか忘れてしまったことが何度もありました。ここは活字の圧勝だと思います。
聞き流すと内容がほとんど残らない
「ながら」でできるのが利点なのに、本当に何かに集中しながら聴くと、章がまるごと抜け落ちます。私の場合、料理で味付けを考えている間の十分ほどは完全に記憶がありませんでした。耳に入ってはいても、頭は別のことをしているわけです。
好きな本が必ずしも音声になっていない
読みたい本を思い浮かべて探しても、音声版が出ていないことは珍しくありません。特に新しめの実用書は活字だけという場合が多く、「聴きたい本を聴く」というより「聴ける本の中から選ぶ」に近い体験になります。ここを期待とずらしておかないと、最初の一か月で離れてしまうと思います。
実際に聴いてみて相性が悪かった五つの場面
ここからは、自分の生活の中で「これは無理だった」と分かった場面です。どれも最初は行けると思っていました。
登場人物が多い小説を歩きながら聴いたとき
群像劇のような作品を通勤中に聴いたら、誰の視点の話なのかが途中で分からなくなりました。活字なら名前が目に入るので追えるのですが、音だけだと同じナレーターの声で語られるぶん、切り替わりに気づきにくいのです。この手の作品は結局、活字で読み直しました。
家事の音が大きい作業と重ねたとき
掃除機をかけながら、換気扇を回しながらだと、音量を上げても台詞が埋もれます。かといって音量を上げすぎると、作業が終わった瞬間に耳が痛いほどの大音量になる。洗い物くらいの音量までが現実的な線でした。
倍速に慣れているつもりで速度を上げたとき
映像作品の倍速視聴には慣れていたので、最初から一・五倍で聴き始めました。ところが朗読は間の取り方まで速くなるので、台詞と地の文の境目が分からなくなります。等倍か一・二倍あたりに落ち着きましたが、ここは映像とは別物だと考えたほうがいいです。
寝る前に布団の中で聴いたとき
眠くなるので良さそうに思えて試したのですが、どこで寝落ちしたか分からず、翌日どこから聴き直せばいいのか毎回さかのぼる羽目になりました。スリープタイマーを短めに設定してからは多少ましになったものの、記憶に残らない時間が積み上がるので、今は寝る前には使っていません。
子どもや家族が同じ部屋にいるとき
話しかけられるたびに一時停止して、返事をして、また再生位置を戻す。この往復が続くと、十分聴くのに二十分かかります。人がいる時間帯は初めからあきらめて、一人で作業する時間に寄せたほうが結果的に楽でした。

それでも解約していない理由
合わない場面をこれだけ並べておきながら、今も契約は続いています。理由ははっきりしていて、一日の中に「耳だけ空いている時間」が思ったより多かったからです。
- 片道の移動時間が、活字を読むには揺れるし、映像を見るには目が疲れる時間帯だった
- 洗濯物をたたむ十五分が、以前は完全に無音だった
- 活字で積んだままだった本が、音声版では最後まで到達できた
- 自分では選ばないジャンルを、聴き放題の対象から試せるようになった
特に最後のひとつは予想外でした。活字だと最初の数ページで合わないと判断してしまう作品でも、聴きながらなら三十分くらいは付き合えるので、結果的に守備範囲が広がっています。
続けるために変えた四つのこと
最初の一か月でほとんど使わなくなりかけたのですが、次の四つを変えてから習慣として定着しました。
作品のジャンルを場面ごとに固定した
移動中は一話完結のエッセイ、家事中は筋が単純な物語、と決めてしまいました。集中できない場面に重い作品を当てるから記憶に残らないのであって、場面に合わせて選べば取りこぼしはかなり減ります。
イヤホンを密閉型に替えた
水音や排気音に負けないよう、外の音を抑えられるタイプに替えました。骨伝導タイプも試しましたが、外の音が入りすぎて私の使い方には合いませんでした。ただし家族がいる時間帯や外を歩くときは、周囲の音が聞こえるほうが安全なので、そこは使い分けています。
聴き終えた作品を一行だけ記録した
内容が残らない問題への対策として、聴き終わったら一行だけ感想を書くようにしました。書こうとすると自然に思い出そうとするので、それだけで定着がまるで違います。自分の好みの傾向も見えてきて、次に選ぶ作品の外れが減りました。
コイン制と聴き放題を月ごとに使い分けた
読みたい本が決まっている月と、気分で色々つまみたい月では、得な使い方が違います。前者は一冊を交換して腰を据えて聴き、後者は対象作品を片端から試す。この切り替えを意識してから、月額に対して損をした感覚がなくなりました。

無料体験期間で見極めるなら、この順番で試す
向き不向きは考えても答えが出ないので、体験期間のうちに生活へ当ててみるのが早いです。私が今からやり直すなら、この順で試します。
- いつも耳が空いている時間帯を、一日ぶん書き出す
- その中でいちばん長い時間帯に合う作品を一冊だけ選ぶ
- 三日続けて同じ時間帯に聴き、途切れずに習慣になるか見る
- 四日目に、内容をどれだけ覚えているか自分に聞いてみる
- 覚えていないなら、作品ではなく時間帯のほうを変えて再挑戦する
合わなければ期間内にやめればいいだけなので、まずは自分の生活に当ててみるほうが確実です。契約の条件や期間は変わることがあるので、申し込む前に公式の案内で確認してください。
よくある疑問
活字が苦手でも大丈夫ですか
活字が苦手な理由が「目が疲れる」「時間が取れない」なら相性はいいはずです。ただ「話の筋を追うのが苦手」という場合は、音声のほうが難しくなることもあります。戻って読み返せないぶん、取りこぼしが効いてくるからです。
ながら聴きで本当に頭に入りますか
作業の種類によります。手順が決まっている家事なら残りますが、献立を考える、買い物の計算をするといった「頭を使う作業」と重ねると、ほとんど残りません。そこは期待しないほうがいいと思います。
映像作品の代わりになりますか
置き換えというより、空いていた時間が埋まる感覚です。私の場合、動画を見る時間は減っていません。減ったのは、移動中にただ景色を眺めていた時間のほうでした。
原作つきの作品だと、耳で先に読んでしまうか映像を待つかで迷うことがある。その順番をどう決めたかは原作を先に読むか、映像を先に見るかのほうに書いている。
聴く読書と並べて、紙で集めていた漫画を電子に移したときの困りごとも書いています。
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この記事で紹介したサービス
- Audible(オーディブル)公式サイト:無料体験期間があるので、まずは自分の生活時間に当ててみるのが早い
耳で聴く習慣が続いたのは移動時間があったからで、そのときの持ち物は外出先でVODを見るときの持ち物にまとめている。
本記事にはアフィリエイト広告を含みます。


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