出張先のビジネスホテル。チェックインして荷物を置き、さて続きを観ようとテレビの入力を切り替えたところで手が止まった。備え付けのテレビは地上波しか映らないタイプで、HDMIの差込口は壁側を向いていて手が入らない。結局その夜はスマホを枕元に立てかけて、六インチの画面で映画を一本観ることになった。
それ以来、泊まりの予定があるときは「観る環境」も一緒に荷造りするようになった。持ち物といっても大げさなものではなく、ポーチひとつに収まる程度のものばかりだ。
実際に持っていって役に立ったもの
- スティック型のストリーミング端末:ホテルのテレビにHDMI端子さえあれば挿すだけで済む。電源はテレビのUSBポートから取れることが多い。
- 短めのHDMI延長ケーブル:これが本命だった。壁際やテレビ裏の奥まった位置にある端子でも、二十センチほど手前に引き出せれば作業が一気に楽になる。
- 折りたたみのスマホスタンド:テレビが使えなかった場合の保険。ベッドサイドのテーブルに置いて角度をつけるだけで、寝ながら観るときの首の負担がまったく違う。
- イヤホン:壁の薄い部屋では音量を上げられないので、結局これが一番使用頻度が高い。
端末やケーブル類は短尺のHDMI延長ケーブルのように旅行用の短いものを選んでおくと、ポーチの中でかさばらない。自分は五十センチのものを一本入れっぱなしにしている。
持っていく前にやっておくこと
機材以上に効いたのが、出発前の準備だった。ホテルのWi-Fiは時間帯によって混み合い、夜十時を過ぎると読み込みが止まることが珍しくない。そこで観る予定の作品は、家を出る前に端末にダウンロードしておくようにした。これだけで、回線の当たり外れに一喜一憂しなくて済むようになった。
ダウンロードには保存期限が設定されている作品が多い点にも注意がいる。二泊三日の出張に合わせて出発前夜に落としておいたのに、視聴期限が四十八時間で、帰る日には再生できなくなっていたことがあった。長めの旅程なら、宿に着いた初日に一度Wi-Fiにつないで落とし直すほうが確実だ。
もうひとつは同時視聴の枠だ。家族が家で観ている裏で自分も再生しようとすると、契約プランによっては上限に引っかかって弾かれる。出張前に一言伝えておくだけで防げるので、これは機材よりも先に確認しておきたい。
ストリーミング端末をホテルのテレビに挿した場合、チェックアウト時の抜き忘れにも注意がいる。自分は一度、テレビ裏に挿したまま部屋を出そうになったことがあり、それ以来、荷造りの最後にテレビの裏を覗くのを習慣にしている。
移動時間そのものを視聴に充てるなら、音声だけを聴くながら視聴に切り替えるほうが向いている場面もある。新幹線や飛行機の中では画面を見続けるより目が疲れず、着いた頃には一本分の話が進んでいる。
結局のところ、ポーチひとつ分の準備で旅先の夜の過ごし方はかなり変わった。荷物が増えるのを嫌ってすべて諦めていた頃と比べると、費用対効果は悪くない。
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