三十分ほど見進めてから、この作品は前に見たことがあると気づく。よくある話だと思っていたのだが、去年だけで四回やっていた。しかも、そのうち二回は同じ作品だった。
視聴履歴を見ればわかるはずなのだが、複数のサービスを行き来していると履歴も分散する。しかも履歴には「途中でやめた」のか「最後まで見た」のかが表れない。二十分で切った作品が履歴の上位に残っていて、見たつもりになっているというケースもあった。
そこで、見終わった作品を一行だけ記録することにした。
書く項目を三つに絞った
最初は感想をきちんと書こうとして、二週間で止まった。文章を書くのが負担になると続かない。今は次の三つだけを、スマートフォンのメモアプリに一行で残している。
- 作品名
- 見終わった日付
- 五段階の点数と、一語だけの印象(「静か」「重い」「テンポ良し」など)
入力にかかる時間は十秒ほど。エンドロールが流れているあいだに打ち込んで終わる。感想を書こうとしていた頃と違って、書くために何かを考える必要がない。
二度見が消えただけではなかった
当初の目的だった重複視聴は、ほぼゼロになった。作品を選ぶ前にメモを検索すれば済むからだ。ただ、続けているうちに別の使い道が出てきた。
自分の好みが数字で見える
半年ぶんたまったところで見返してみたら、点数の高い作品に偏りがあった。上位に来ているのは、派手な展開のものより会話中心の静かな作品が多い。自分では映像の派手な作品が好きだと思い込んでいたので、これは意外だった。
それ以来、作品を選ぶ基準が変わった。レコメンド機能を活用して迷子から抜け出した話も書いたが、機械の推薦より自分の記録のほうが精度が高い場面がある。推薦されるのは「よく見られている作品」であって、「自分が高く評価した作品」ではないからだ。
シリーズものの進捗管理にも使えた
思いがけず役に立ったのが、続きもののドラマだ。シーズンが複数あって、しかも配信サービスによって配信されているシーズンが違う場合、自分がどこまで見たのか本当にわからなくなる。とくに一年待たされた続編では、前のシーズンの終わり方すら覚えていない。
記録に「シーズン2第8話まで・主人公が転職したところ」と一行足しておくと、再開したときに前話を見返す手間がなくなる。この一行を書くのに五秒もかからないのに、省ける時間は四十分ぶんある。
途中でやめた作品も記録している
最初は見終わったものだけを書いていたのだが、途中離脱も残すようにした。「三十分で離脱・展開が遅い」と書いておくと、後日おすすめに出てきたときに手を出さずに済む。離脱理由まで書いておくと、体調や時間帯のせいだったのか、本当に合わなかったのかも判断できる。
実際、「眠くて離脱」と書いた作品を休日の昼に見直したら最後まで見られた、ということが何度かあった。
専用のアプリやサービスもあるようだが、自分は普通のメモアプリのままにしている。サービスが終了する心配がなく、検索が速い。「あとで見る」リストを整理した話と組み合わせると、見る前と見た後の両方が管理できて、選ぶ時間そのものが短くなった。
一行のメモで済むことに一年気づかなかった。同じ作品を二回見た三十分ずつを合計すると、それなりの時間になる。


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