会話が聞き取れないので音量を上げる。次の場面で爆発が起きて、慌てて音量を下げる。この往復を一本の映画で十回はやっていた。深夜だと、そのたびに家族を起こしていないか気になる。
音量差そのものは作品側の作りなので、こちらでは変えられない。変えられるのは受け手側の処理だけだ。テレビの音声設定を探したら、「夜間モード」「ナイトモード」といった名前の項目があった。
何をしている機能なのか
要するに、大きい音を抑えて小さい音を持ち上げる処理をしている。音量の幅を圧縮するので、爆発音が控えめになり、ささやき声が聞こえるようになる。深夜向けの機能として搭載されていることが多い。
使い始めてすぐに、リモコンを握る回数が激減した。一本の映画を通して音量に触らないことも珍しくない。これだけでも十分だったのだが、いくつか気づいた点もある。
向いている作品と向いていない作品がある
会話中心のドラマとは相性がいい。台詞が一定の音量で並ぶので、聞き逃しが減る。海外ドラマの早口な会話も、以前より追いやすくなった。
一方で、音の大小そのものが演出になっている作品では違和感が出る。静寂から急に音が来る場面の効果が弱まるし、音楽ものでは強弱の表現が平坦になる。ライブ映像を夜間モードのまま見たときは、明らかにつまらなく感じた。
今は、深夜の会話劇では入れる、休日昼間の映画では切る、という単純な使い分けにしている。リモコンの音声設定から二操作で切り替わるので、面倒とまでは感じない。
機器によって置き場所が違う
探すときにややこしいのが、この設定がどこにあるかだった。自分の環境では三か所に似た機能があった。
- テレビ本体の音声設定
- 接続しているサウンドバー側の設定
- 配信アプリ内の音声トラック選択(作品によっては「夜間用」の音声が用意されている)
三つとも入れると音が痩せすぎて、逆に聞き取りづらくなった。今はサウンドバー側だけを使っている。機器を足したときの音の変化についてはサウンドバーを導入したときの感想にも書いたが、音まわりは足し算より引き算のほうが効くことが多い。
配信サービス側の音声トラックは見落としやすい
三つ目の、作品ごとの音声トラックについては、存在に気づくまで半年かかった。音声を選ぶ画面には日本語と英語しか並んでいないと思い込んでいたのだが、作品によっては同じ日本語でも複数の形式が用意されている。立体音響に対応した音声と、通常の二チャンネル音声が別項目になっているケースだ。
立体音響の音声は、対応した機器で聞けば臨場感が出る。ただ、テレビの内蔵スピーカーだけで再生すると、音の定位を再現しきれないぶん台詞が引っ込む。うちの寝室のテレビは内蔵スピーカーなので、あえて通常の音声を選ぶようにしたら、それだけで聞き取りやすくなった。夜間モードを入れる前に、まずここを確認したほうが早い場合もある。
台詞だけを強調する「音声明瞭」のような設定を併用しているという話も聞くが、自分の環境では声が硬くなって疲れたので使っていない。このあたりは機器と部屋の組み合わせ次第だと思う。
深夜に見る前提であれば、字幕か吹き替えかという話とも絡んでくる。自分は夜間モードを入れたうえで字幕も出す形に落ち着いた。音を上げなくても内容がわかるという点では、これがいちばん確実だった。
設定ひとつで、深夜に映画を見るときの気疲れがかなり減った。音量ボタンを探して手探りする時間も、それなりに集中を削っていたのだと思う。


コメント